免疫療法の光と影

近年、がんに対する免疫療法は大きな発展

を遂げ、外科療法、化学療法、放射線療法に

並ぶがんの標準療法としての立場を確立し

つつある。

 

その原動力が免疫チェックポイント阻害剤で

あり、これまでに承認された薬剤として

抗CTLA-4抗体や抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体が

知られている。

 

免疫チェックポイント阻害剤は、がんにおける

免疫抑制メカニズムとして作用する分子に対し

て阻害活性を有する抗体薬であり、抗腫瘍T細胞

応答を増強することで治療効果を発揮する。

現在、進行性の悪性黒色腫と非小細胞肺がん、

腎細胞がんの治療薬として承認され、さらに多くの

製薬会社において臨床試験が行われている。

 

また、CAR-T免疫療法は、血液からリンパ球(T細胞)

を取り出し、遺伝子組み換えによって、がん細胞の

表面抗原を認識する分子を組み込み、普通のT細胞を

強力なキラーT細胞に変換させてから培養、大量に

増やしておいて元の患者体内に戻す方法により、体内

のがん細胞を殺そうというメカニズム。

 

免疫チェックポイント阻害剤はがん治療に新しい

希望をもたらしたが,その一方で未だ多くの課題

も含有している。

例えば、5-10%程度の症例において重篤な治療関連

有害事象が発症している。また、単剤での奏効率は

20-30%程度であり効果が得られる症例を見極める

バイオマーカーが必要である。

 

さらに、治療費も高額で、免疫チェックポイント阻害

剤が年間1500万円、CAR-T免疫療法で3000万前後に

なる。

 

今後、治療効果をさらに高めるためには、他のがん

治療法との組み合わせによる複合的がん免疫療法の

確立が急がれる。